2025.7.16(WED)

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【漢方薬剤師監修】夏はむくみの季節。
チェックリストとむくみ解消のセルフケア

夏はエアコンで冷え、水分も多く摂るためむくみやすい時期。「なんだかだるい」と感じるのはむくみが原因のこともあります。「むくみは早く解消することが大切」と指摘するのは漢方薬剤師の樫出恒代さん。簡単にできるセルフチェックとセルフケアを教えていただきました。

お話を伺ったのは…

漢方薬剤師・漢方ライフクリエーター
漢方カウンセリングルームKaon代表・Kaon漢方アカデミー主宰
樫出 恒代 (かしで ひさよ) さん

新潟薬科大学薬学部卒業。漢方の世界に魅せられ、女性の心と身体に丁寧に寄り添う独自の漢方カウンセリングを実践している。現在、「女性ライフクリニック銀座」にて漢方外来を担当するほか、東京・築地の漢方カウンセリングルームKaonにて、漢方カウンセリングとオリジナルメソッド〈バイタルフットヒーリング〉によるケアを行う。また、Kaon漢方アカデミー主宰として、漢方の知識と感性を育む人材育成にも尽力。セミナーやメディアを通して、漢方の智慧を日常に活かし“自分らしく心地よく生きる力”を届けている。
著書に美容家吉川千明氏との共著「内側からキレイを引き出す 美肌漢方塾」(小学館)がある。

※ヤーマンより依頼したコメントを抜粋・編集の上掲載しています

まずはチェックリストでむくみチェック!

むくみとは不要な水分や老廃物が排出されず、たまっている状態。以下の項目が3つ以上あてはまったらむくみやすいサイン。すぐにケアを始めましょう。

チェックリスト

  • 体がだるい、重い
  • 汗をよくかく、またはあまり汗をかかない
  • 冷え性
  • 座っている時間が長い
  • 運動習慣がない
  • 水分をよく飲む
  • 塩分の多い味付けが好き
  • ストレスが溜まっている
  • 関節痛がある

「漢方的に見ると、汗をかきすぎる人も汗をかかない人も体内に余分な水分がたまっている『水毒』という状態であるためどちらもむくみやすいのです。関節痛は水が溜まることも原因で、むくみと関連します」(樫出さん)

これってむくんでる?むくみの症状

すでにむくみが進行している場合、以下のような症状が現れます。

  • 足首を指で押すと戻りにくい
  • 靴下の跡がつく
  • 舌を横から見ると厚みがあり、歯形がついている
  • 寝起きはまぶたが重い
  • 夕方に靴がきつくなる/象の足のようになっている
  • 肌を触ったときにペタっとする

「日本は高温多湿なのでそもそもむくみやすいんです。肌を触ってみてしっとり気持ちいい場合は保湿バランスがよい状態ですが、それを通り越してべたつく場合は過剰な水分によりむくんでいるというサインです」

現代人は避けられない⁉ むくみの原因

冷えや塩分多めの食べ物、運動不足などむくみの原因はいくつかありますが、樫出さんが指摘するのは「バランスの悪さ」
「東洋医学では『(き)・(けつ)・(すい)』が滞りなくめぐることで、良い状態が保たれると考えます。

氣はやる気・生命エネルギー、血は血液・栄養、水はリンパ液や唾液、汗などの血液以外の水分です。

疲れやストレスがたまると氣が滞り、氣が滞ると水が巡らなくなる。水が滞ると血流も悪くなり、血液循環が悪いと疲れやすくなる。
現代社会はストレス過多で氣が滞り、エアコンなどの冷えで血が滞り、汗をかかない生活や塩分過多の食事は水が滞るため、氣血水のバランスを崩しやすい。するとむくみをはじめさまざまな不調を引き起こしやすいのです」

とくに夏は「むくみが加速」しやすい時期だと言います。
「まずエアコンの冷え素足でいることも冷えを引き起こします。水分の摂り過ぎ。そしてお風呂に入らずにシャワーで済ませてしまうこと。何より『汗をかかないようにすること』がむくみを促進し、だるさも引き起こします」
汗が不快だからと1日中エアコンの効いた場所にいると、汗腺が開かずに水分が出て行かないことに。

「1日1回は外に出て、暑さを感じるようにしましょう。本来、夏の体はデトックスの時期ですから、積極的に汗をかいたほうがスッキリします。熱中症に気をつけながら、汗をかくことを意識しましょう」

簡単にできるセルフケア5つ

むくみやすい時期は、セルフケアをしっかり行うタイミングでもあります。むくみは放置するほど解消しにくくなるため、早め早めのケアがポイントだと樫出さんは指摘します。

対策① 「腎」の氣を養う

東洋医学には「五臓」の考え方があり、肝・心・脾・肺・腎(かん・しん・ひ・はい・じん)の5つが互いに影響し合い、バランスを取っていると考えます。

※ 画像はイメージです

むくみに関連するのは「腎」。水分代謝のコントロールを行っており、腎に氣が満ちていることが大切です。
「腎のエネルギーが低下している状態を『腎虚』といいます。腎の氣を養うには足腰を鍛える運動が効果的。また黒ゴマや黒豆、ひじきや海苔など、黒い食べ物もおすすめです。甘い物や冷たいものは腎を弱くするので控えましょう」

対策② 湯船につかる

夏はシャワーだけ、という人は要注意。お風呂に入ることはかなり重要です。
「氣血水をめぐらせるのに最も効果的ともいえるお風呂。リラックスすることで氣が補われ、温まることで血流も良くなります。また水圧で水の流れも良くなるため、むくみ改善だけでなくあらゆる不調に効果的。こんなに簡単で気持ちの良いセルフケアはありません」

対策③ 水をさばく食べ物、飲み物を摂る

利尿作用のあるお茶や水を排出しやすいウリ科の食べ物は過剰な水分を出すのにおすすめ。
「トウモロコシのひげ茶やコーン茶がむくみ解消に効果的。常温で飲むようにしましょう。砂糖を加えない小豆も利尿作用があります。またキュウリやズッキーニ、ゴーヤ、すいか、メロン、冬瓜などウリ科の食べ物は水をさばく効果があるのでおすすめ」
冷たいものを飲む場合はストローを使わずに、一旦口の中で冷たさを感じてから飲むようにしましょう。脳が冷えを感じ、少量でも涼しさを感じられて飲み過ぎを防ぎます。

対策④ ツボ押し

※ 画像はイメージです

「むくみに効くツボ」を覚えておくと、だるい時の応急処置になります。
「まずは三陰交(さんいんこう)。その名の通り、肝・脾・腎の3つの経絡が交わるツボで、足の内くるぶしから指4本分程の場所にあります。血流をよくして冷えをケアします」

※ 画像はイメージです

「次に太陽膀胱経(たいようぼうこうけい)。足のふくらはぎの裏の真ん中あたりです。むくんでいる場合、承山(しょうざん)と委中(いちゅう)という2つのツボが詰まっている場合が多い。自分で押すのは難しいのでテニスボールの上に脚を乗せて、圧をかけるとよいでしょう」

※ 画像はイメージです

「最後に水分(すいぶん)という名前のツボも。おへそから1cmくらい上のあたりにあるツボで、水分を排出する働きがあります。手をグーの形にしてやさしく押してみましょう」

対策⑤漢方薬の力を借りる

むくみが日常化している人や、症状がつらいときは漢方薬で対処するのも手。水分代謝におすすめの3つを覚えておきましょう。

・五苓散(ごれいさん):水分代謝を上げ、水分を排出。水毒からくる頭痛や二日酔いにも。
・黄連解毒湯(おうれんげどくとう):いらない熱をとり、五苓散と一緒に飲むことで水分代謝を促進。熱中症にもおすすめ。
・防己黄耆湯(ぼういおうぎとう):多汗症や関節痛に。胃腸の働きを高めて水の排出を促す。

「漢方薬はやさしい処方が特徴ですが、体質によって合わない場合もあるので、漢方薬局などで相談して選ぶことをおすすめします」

むくみで気になるQ&A

朝、顔がむくむのはなぜですか?

体の60~70%は水分のため、横になっていると頭の方に水が移動するからです。長時間立っていると下半身に溜まり、夕方に脚がむくむのと同じ仕組み。寝起きのむくみが気になるときは、顔のマッサージや「水分」のツボ押しが効果的です。

冷たいビールを飲むのはむくみやすくなりますか?

冷たい飲み物+アルコールですので、むくみを促進します。でも、我慢やストレスは「氣」のめぐりを悪くするため、食べ合わせを工夫して。唐揚げなどの揚げ物は冷たいものと相性が悪く、胃腸に負担がかかるので、枝豆や豆腐、チーズなどのたんぱく質を食べましょう。

着圧ソックスは効果的ですか?

常用すると自力で水分をまわす力が低下してしまうので、一時的に使うのがおすすめです。たとえば飛行機の中や、オフィスでどうしてもむくみがつらいときなど、上手に活用しましょう。

生理前のむくみが気になります。即効性のある対処法はありますか?

排卵後から生理までの期間に活発に分泌されるプロゲステロンというホルモンは「溜め込みホルモン」といわれているため。むくむ人も多いようです。お風呂にしっかり浸かり、漢方に頼ってみてもいいでしょう。生理前は刺激物が食べたくなったりしますが、食べると余計にむくんで悪循環に。利尿作用のあるお茶を飲んだりして、うまくコントロールしましょう。

まとめ

むくみは放置すると、解消しにくくなります。だるさが抜けなくなってくるので、お風呂で温まってしっかり汗をかき、スッキリとリラックスして「氣血水」をまわしましょう。

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