2025.8.25(MON)

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医師に聞く「夏冷え」の原因と対策、
夏こそ温活で不調を乗り切ろう

年々、暑さが増す日本の夏。しかし、冷えに悩む人が増えています。だるい、肩こりがつらい、やる気がない…不調を感じたら、夏冷えが原因かもしれません。「冷え対策は、速効性があるのでぜひやってみてください」と話すのは内科医の石原新菜先生。今日からできる冷えケアを始めてみましょう。

教えてくださったのは…

イシハラクリニック副院長
石原 新菜 (いしはら にいな) 先生

医師、日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。著書に『体温を1度上げると不調はすべて解消する』『病気にならない蒸し生姜健康法』などがある。

※ヤーマンより依頼したコメントを抜粋・編集の上掲載しています

現代人の生活環境は冷えを招く

外は35度を超える猛暑日でも、体が冷えている。それは現代人の生活スタイルにあると石原先生は指摘します。

※ 写真はイメージです

「昔の夏は今ほど暑くなかったということもあり、スイカやキュウリを食べて体を冷やし、扇風機やうちわの風で涼むことができました。しかし今はそうはいきません。熱中症対策にエアコンの使用は推奨されていますし、実際にエアコンは私たちの生活に不可欠になりました」
そのため、体が冷えている人も増加中。エアコンをはじめ、さまざまな要因があるようです。

要因① エアコン

※ 写真はイメージです

「電車やオフィス、レストランなど、今はどこでも空間を涼しく冷やしています。快適である一方で、体はどんどん冷えていくことに。外に出たときに『あったかい』と感じるのは冷えている証拠です。室内で寒いと感じたら、我慢しないことが重要です」

Advice!

エアコンの設定は26~28℃設定に。ただし、機種により冷え方に差があるので、室温計を用意して、部屋の温度が26~28度になるように調整を。

要因② 冷たい飲み物

「熱中症の疑いがある人には、冷水を飲ませます。つまり、冷たい飲み物は体内を一気に冷やす作用があるということ。暑い屋外にいる場合は冷たい飲み物を飲んでも構いませんが、冷えた室内にいるときにはできるだけ温かい飲み物を選びましょう」

Advice!

朝一番の白湯は冷えた内臓を温める効果が。生姜やシナモンをプラスすると、より温める効果アップ。アルコールは赤ワインがおすすめ。

要因③ シャワー

「夏は湯船に浸からず、シャワーで済ますという人が少なくありません。これも夏冷えの特徴です。40℃くらいのぬるめのお湯に浸かり、1日冷えた体を温めてリセットしましょう。リラックス効果で副交感神経が優位になり、血行促進にもなるので熱が全身に行き渡ります」

Advice!

クール系の入浴剤を入れたり、湯上りにメントール系のボディローションなどをつけるとお風呂後の汗対策に。

要因④ 食事

「暑さのあまり食欲がなく、そうめんなど簡単なもので済ませてしまうという人は要注意です。たんぱく質が足りず、筋肉量の低下が冷えにつながります。熱の40%を生み出すのは筋肉です。栄養のあるものをしっかり食べて体作りも意識しましょう」

Advice!

卵やチーズ、納豆など手軽に摂れるたんぱく質をプラス。

「今は小学生でも体温が35℃台の人がいるほど。不調を訴えたり風邪をひきやすい人が増えるなど、深刻な問題になっています」

「夏の冷え」の特徴とは?

冬に手先や足先が冷たくなるのとは異なり、夏は「内臓が冷える」のが特徴だと石原先生は警鐘を鳴らします。さらに冷えると血管が熱を逃がさないように収縮し、血行不良になって「むくみ」や「こり」にも。具体的にどのような状態になるのでしょうか?
体の部位別に「冷え」から起こりやすい不調を解説します。

おなか

「触ってみて冷たいと感じたらおなかが冷えています。大腸が冷えると栄養の吸収が悪くなり、胃が冷えると消化力が弱まって食欲不振に」

足・ふくらはぎ

「足先は冷えを感じやすいですが、ふくらはぎも意外と冷えています。第二の心臓と呼ばれるふくらはぎが冷えると血液循環が悪くなり、水分代謝も低下してむくみにも」

下半身(膀胱、子宮)

「夏に生理痛がひどくなるという人は少なくありません。これも冷えが原因のひとつ。また、膀胱が冷えると尿の排出がしにくくなり、膀胱炎になることもあります」

「血行が悪くなると、肩や腰のこりが悪化します。また肩はエアコンの風が当たる場所でもあり、外からも冷やされる場所なので、寒いと感じないようにしましょう」

しかし、冷え対策は「すぐに効果を実感できる」と石原先生。
「冷たい飲み物がすぐに内臓を冷やすように、温かい飲み物も同様に、すぐに内臓を温めてくれます。1日1杯の白湯を飲むだけでも冷え対策になるので、ぜひやってみてください」

今日からできる冷え対策

「今日の冷えは今日のうちに解消する」くらい、効果が早い冷え対策。1つでも取り入れて効果を実感してみましょう。

ファッション

※ 写真はイメージです

「ショールや薄手のカーディガンなどを常に持ち歩くとよいでしょう。素足にサンダルは、エアコンの効いた室内では冷えてしまいます。できればオフィスなどでは靴下を。
おすすめなのは腹巻。今は夏用の腹巻も売っています。お腹まわりだけ温めるので冷えが気になる人にはおすすめです。
インナーは汗が乾きやすいものを。パジャマは天然素材のものがよいでしょう。ただし綿素材は水分が乾きにくい特性があるのでリネンやシルクをチョイスして」

運動

「熱を作り出す筋肉が少なくなると、体温も低下します。下半身に60~70%の筋肉があるので、スクワットは効率よく筋肉を増やすことができます。普段は階段を使うなど、筋肉を増やすことを意識しましょう

食事や飲み物

「冷たい飲み物を選ぶ際には、アイスティーがおすすめ。紅茶は発酵したお茶なので、腸内環境を整えます。同様にウーロン茶やルイボスティなど色の濃いお茶を選ぶとよいでしょう。ココアのカカオポリフェノールは血流改善効果があります。
食事も同様に、発酵食は冷え対策になります。きゅうりを食べるなら味噌をつけたり、トマトやすいかには自然塩をかけたり。塩や味噌、醤油は体を温める効果が。そして、薬味やスパイスもおすすめです。冷ややっこにネギと生姜、しょうゆという組み合わせはよく考えられています。ミョウガやしそ、しょうが、にんにく、唐辛子などを積極的に取り入れましょう」

ストレス解消

「不安や嫌なことがあると、血管が縮んで血流が悪くなります。できるだけストレスをためないように、楽しく過ごすことも冷え対策に。お風呂でリラックスしたり、運動で発散するのもストレス解消になりますよ」

最も気をつけたいことは「なんか冷えるな」「クーラーが寒い!」と感じても我慢してしまうこと。夏の室内は、想像以上に冷えていると自覚しておきましょう。

冷えで気になるQ&A

これまで、いろんな冷え対策をしてきました。首、手首、足首は出さない。冷たい飲み物も飲まない。筋トレもする。
それでも冷えが改善されないのはなぜでしょうか。

筋肉がつきにくい体質という場合もありますが、水分を摂り過ぎているかもしれません。温かい飲み物でも、水分はむくみにつながります。むくみはそのまま体を冷やすので、1日の飲み物の量を見直してみましょう。

「家庭あるある」ですが、夫がエアコンの温度を下げるので寒くてたまりません。とくに寝室が困ります。
一番よい対策は何でしょうか。

これはよく聞くお悩みです。男性は女性よりも筋肉量が多いため、冷えを感じにくいという特徴があります。家の中では、自分の着るものや寝具を秋から冬のものに変えてしまいましょう。実際に、それくらい冷えているはずです。

年々冷えがひどくなっている気がします。加齢と冷えは関係ありますか?

関係あります。筋肉量が減ることや血管が弱くなることで血流が悪くなり、熱が運ばれにくくなります。また基礎代謝も低下するため、体温が低くなりがち。たんぱく質をしっかり摂り、積極的に体を動かしてめぐりのよい体をつくりましょう。

おわりに

冷えは万病のもと。やる気が起きないなど、メンタル不調も冷えからきている可能性があります。夏の不調は内臓を温め、速やかに改善していきましょう。

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