2025.5.1(THU)

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鏡を見ると、口角の横にほうれい線が……。「老け見え」の原因になるほうれい線は、20代からでてくるケースも。ただし、ほうれい線はシワというよりもたるみ。筋肉の衰えも大きな原因のひとつ。表情筋を積極的に動かせば改善や予防につながります。「顔の筋肉」のプロであり、これまで3万人以上にレッスンを行ってきた間々田佳子さんに基本となるほうれい線ケアのトレーニングを教えていただきます。

教えてくださったのは…

表情筋研究家
間々田 佳子(ままだ よしこ)さん

1972年生まれ。レッスンの受講生はのべ3万人以上。著書累計56万部を誇る「顔の筋肉」のプロフェッショナル。
自身のたるみ顔を改善した経験を踏まえた指導がメディアで話題になり、大企業の社員研修やイベントで講師を務めるなど、全国で活躍。顔ヨガカリスマ講師を経て、表情筋研究家に。現在は「コアフェイストレーニング」を考案し、広く活動中。

※ヤーマンより依頼したコメントを抜粋・編集の上掲載しています

顔が変わって人生が変わった!

間々田さんは30代の頃、アルゼンチンタンゴのダンサーでした。身体は鍛え上げられ、当時の体内年齢は19歳! ところが、ふと鏡を見ると首から上にシワやたるみがあることに気づいたと言います。
「ダンスで動かしていたのは首から下ばかり。顔にはシワが目立つし、ほうれい線やたるんだ毛穴が気になって、鏡を見るのが本当に嫌でした。身体ばかり気にして顔は全然意識していなかったんですね」と、間々田さん。
そこで、38歳の時に「顔も鍛えればいいのでは?」と一念発起。
「当時は人前で話をするのも苦手だし、笑顔をつくるのも苦手。自分に自信がなかったのですが、今考えるとただの顔の運動不足だったんです。顔を動かすことを意識しただけで自信を取り戻し、人生が大きく変わりました」
顔の筋肉は何歳からでも鍛えられる。ほうれい線はあきらめなくていい、と間々田さんは言います。

まずは「今の顔」「10年後の顔」「トレーニング後の顔」をチェック!

今の顔

まずは「今の顔を知る」ために、スマホでチェックしてみましょう。

  • カメラをセルフモードに切り替え、自分の顔が写る位置に持つ
  • 一旦目を閉じて、顔も体も全身をゆるめる
  • 力を抜いたまま目を開け、その顔を撮影する

このときに、表情をつくらないことが重要。ありのままの顔を撮影しましょう。これが、今の自分の顔です。ほうれい線は気になりますか?

10年後の顔

床と平行になるくらい顔を下に向け、その顔を撮影します。かなりたるみが気になるはず。これが「何もしなかった10年後の自分」です。

トレーニング後の顔

次に、そのまま天井の方を向き、撮影します。これが「トレーニングをした未来の自分」です。
比べてみると、その差が大きいことに気づくはず。トレーニングの効果は大きいのです。

加齢だけじゃない、ほうれい線ができる原因

ほうれい線は、加齢による筋力の衰えや肌の乾燥によるハリの低下、表情のクセなどでできると言われています。
「私たちの顔には約20種類以上の表情筋と呼ばれる筋肉があります。表情のクセでよく使う筋肉、あまり使われない筋肉があり、使わない部分はたるんできます。頬の筋肉があまり使われないとほうれい線ができてしまう、という仕組みです」
また、日本語はあまり表情筋を使わない言語ということもあり、表情筋を意識して使わないとどんどん衰える傾向にあるのだとか。
「日本人は口元だけで話している傾向があり、頬を使っていないんです。そうすると、まるで“地滑り”のように頬の筋肉が垂れ、ほうれい線が目立ってきます」

また、パソコンやスマホを見ている時間が長いと、顔の筋肉をまったく使っていない状態が続いている、と間々田さんは指摘します。
そして、意外と重要なのが「姿勢」。実は、猫背などの姿勢からも顔が歪んでくるのだそう。
「姿勢崩れが起きている人は、顔の下半分を使いやすい傾向があります。顔と体はつながっているので、姿勢を意識するだけでも顔の左右のバランスが整い、筋肉のつきかたが変わってきます。トレーニング時はとくに、整った姿勢を意識しながら行うことで効果がアップしますよ」
まずはウォーミングアップから始めてみましょう。

まずは姿勢を整えてウォーミングアップ

骨盤の位置を正し、顔の中心軸(コアフェイス)を作ってから行う顔のトレーニングは、顔を左右均等に動かし、表情筋への負荷を高め、顔全体を動かしやすくします。朝起きたとき、むくんだ顔をスッキリさせる効果や、トレーニング前に筋肉をやわらかくする効果にもつながります。
顔のトレーニングは顔ばかりに意識が集中しがちですが、まずは姿勢を整えることから。

ウォーミングアップ

※ この状態を、「コアフェイスを作る」と呼んでおり、コアフェイストレーニングをするときの基本

  • 椅子に座り、骨盤を立てる。左右の座骨に均等に体重が乗っていることを確認。
  • 背骨を1つ1つ積み木のように立てていくイメージで、頭頂部は上に引っ張られるように意識。胴体の上に頭がふわっと乗っている状態に。
  • 指先は床に向かって伸ばし、肩は上げないように意識を。

④ この姿勢から、思いっきり顔の筋肉を動かしながら「しゅ~お~うぁ~」と息を吐きます。

口をすぼめて前に突き出し「しゅ~」。
目も大きく見開いて

鼻の下を伸ばしながら「お~」。
顔を縦に伸ばすイメージで

目をぱっちりと開きながら
「うぁ~」と顔全体を大きく広げます。

最後に鼻から息を吸い、吐きながら顔全体を緩めます。脱力した瞬間に顔の血行がよくなっていることを意識しましょう。
「しゅ」「お」「うぁ」と動きを区切るのではなく、「しゅ~お~うぁ~」のように一連の動きで行います。3〜5セットを目安に。
「これだけでも筋肉がほぐれて動かしやすくなります。「うぁ~」のときにほっぺたは上に、足裏と引っ張り合うようなイメージで行いましょう」

《 よくありがちなNG例! 》

顔に集中するあまり、姿勢が崩れがち。また、口を大きく動かすため、目を細めてしまう人も。あごも前に出やすいので、背筋を伸ばして顔は正面に。目はしっかり見開いて行いましょう。

今日からできる、簡単ほうれい線ケア

簡単にできる3つのトレーニングをご紹介します。ウォーミングアップの時のように姿勢を整えながら行うこと。

口輪筋プッシュ

口のまわりにある「口輪筋」は、多くの頬の筋肉とつながっています。これらの筋肉に刺激を与えることで、ほうれい線が停滞ジワとなって顔に刻まれないようにケアします。

ほうれい線に内側から“アイロンをかける”ように、舌を使って伸ばしていきます。

  • コアフェイスを作り、正面を向く。
  • 口が開かないように意識しながら、小鼻の横からほうれい線を口の内側から舌で上下になぞる。
  • 片側を3~5回。左右で1セット。3~5セット行う。

「ここを伸ばすことでリンパの流れもよくなり、肌の弾力も出てきます。口を開けながら行ったり、猫背になっていると十分なトレーニング効果が半減してしまうので注意しましょう」

指ロックフェイスストレッチ

ほうれい線は、頬のもたつきが原因。このもたつきを改善するためには「黒目の下を伸ばす」トレーニングが有効です。

  • コアフェイスを作り、両手の人差し指を頬骨の高さあたりに置く
  • 指を軽くプッシュしながら少し上に上げる
  • 黒目の下から頬を伸ばすイメージで「う~」「ほ~」と口を動かす
  • 「ほ~」のときに黒目下が伸びるのを感じながら5秒間キープ。3〜5回行う。

「鼻の下を伸ばすのではなく、黒目の下から頬の部分を伸ばすイメージで。小鼻の横にあるお肉をスッキリさせるトレーニングです」

頬ケアプッシュ

血行がよくなっているお風呂は絶好のほぐしタイム。ながらでできるので習慣化にもつながります。

  • 頬骨の下のライン、鼻の横に親指を当てます。
  • 押しながらゆっくり「ほ」「く」と口を動かします。
  • 少しずつ親指を外側に向かってスライドさせながら「ほくほく」と繰り返し、耳の横まで押していきます。

ほうれい線ケア、正しくできている? 気になるQ&A

笑うとシワやほうれい線ができやすいのでしょうか。できるだけ表情のクセがつかないように気をつけたいです。

ほうれい線は「表情のクセ」「表情筋の使い方」と深く関係しています。笑うとシワが入るから笑いたくないという声も聞きますが、顔は筋肉ですから使わなければ衰え、さらにたるむ原因に。笑ったり喋ったりすることは、表情筋を動かすことになるので、むしろ重要なのです。
ただし、鼻や口周りにギュッと力を入れるような偏った『表情のクセ』があると、ほうれい線を自分で作っていることになります。
笑う時には、顔全体の力を抜き、頬から口角を上げるのがコツです。頬から笑顔をつくるトレーニングも「ほうれい線ケア」として効果的です。鏡をみながらやってみてください。

※ 左は鼻や口周りに力が入っている。右は無駄な力が抜けている。

本やYouTubeなどを見てトレーニングをすると、間違っていないか不安で、かえって逆効果になるのではと心配です。

表情筋に間違ったクセをつけないためには、1種類ではなく、いろいろなトレーニングを行うことがおすすめです。まずはコアフェイスを意識し、顔のいろんな筋肉を使うようにトレーニングを楽しんでください。

トレーニングするときのアドバイスはありますか?

鏡を見ながら、左右のバランス、動きを確認しながら行いましょう。

どれくらいで効果を実感するのでしょうか。

早い人では1週間くらいで「頬が動くようになった」「たるみがなんとなく目立たなくなった」と感じ始めます。「顔がぽかぽかするようになった」という実感も十分な効果と言えます。
すぐに効果が実感できなくても、「変化」を感じられたら、それは効果につながっていきますので、毎日少しずつでも続けることがポイントです。トレーニングを行うと小さな変化を感じ始めますので、ぜひ続けてみてください。

まとめ

顔も体と同様に「表情筋」という筋肉は鍛えたり緩めたりすることができます。天井を向いた顔をスマホのカメラで見るとわかるように、トレーニング次第で顔の印象は大きく変えられるのです。ほうれい線ケアをすることで、「笑顔がつくりやすくなった」「まわりから褒められるようになった」と、人生に変化が訪れる人も少なくありません。今日から早速、顔を動かしてみましょう。

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